中小企業経営とは

ある程度規模の大きい会社には法務部が設けられています。法務部では、取引先との契約書類等の作成や確認、定款や就業規則といった社内規程の作成や整備、売掛金や貸金等の債権管理や回収、パワハラ・セクハラや情報の管理その他の法律に関する問題に対応する業務、株式発行や子会社等の会社経営に関する業務、クレームや取引先とのトラブルや訴訟への対応といった業務をになっています。

中小企業における法務も、これを担う組織がないというだけで、内容的には殆ど変わりがありません。特に、企業コンプライアンスに対する関心が高まっている今日においては、法令遵守を怠ることにより企業生命が危うくなることもしばしば見受けられます。したがって、こういった知識を予め備えていくことは、健全に企業を経営し次世代に引き継いでいくためには、とても大事なことになります。

経営形態や機関構成、定款の整備等について

中小企業の株式会社の殆どは、株式を譲渡するには株主総会や取締役会の承認を必要とする「株式譲渡制限会社」です。株式譲渡制限会社では、取締役の任期が10年まで延長できたり、取締役会や監査役を設置する義務がなかったり、株主に相続が開始したときに会社が買い取れる規定を設けることができる等、家族経営が中心の中小企業にとって、事業を円滑に運営するための工夫が取り入れられています。ところが、せっかく会社法が改正されても、定款をそのままにしており、未だに株券発行会社のまま放置されてる会社が多いといったのが実情です。また、中小企業の中には、これまでの有限会社が、会社法の改正により株式会社となった、いわゆる「特例有限会社」も多く存在します。この特例有限会社についての、株式会社とはいえ、中小企業の経営に合った特例が定められています。

今後の継続的な経営やコストの削減のためにも、こういった法制度があることをしっかり認識し、もう一度、自社の経営形態や定款等を見直してみることも不可欠かと思います。

契約書法務について

契約書の大切さ

会社の経営は、顧客との取引は勿論ですが、事業所の賃借や設備の購入やリース、従業員との労働契約等、契約が中心になっています。契約は、法的には口頭でも成立するのが原則ですが、取引を巡るトラブルを避けるためにも契約書を作成しておくことはとても大切です。また、契約によっては、契約書(文書)を作成しないと効力が認められないものや、せっかく契約書を作成しても、保証契約の極度額等の様に、契約書に記載していないと契約自体が無効になってしまうものもあります。また、中小企業の多くは、取引先の大手企業から、取引基本契約書や業務委託契約書、秘密保持契約書等への記名押印を一方的に求められることも多いと思われます。

取引を始めるに当たっても、取引の最中においても、契約内容に争いは生じないように契約書を作成し、また、自社にとって不利益な契約を締結しないためにも、基本的な法的知識は持っておくべきだと思います。

契約書には何を記載するのか

会社を経営して行くにあたっては、様々な契約書があります。特に、受注や発注を繰り返している継続的にお取引のある顧客とは、取引の度に一々契約書を作るのは煩わしいので、基本的な事項は基本契約書で定めておくことが多くあります。その具体的な取引の内容は、売買であったり請負であったりしますが、代金の支払時期や支払方法、納品された商品の検品方法、不適合な商品が発見された場合の対処方法、いかなる場合に損害を賠償する必要があるのか、その賠償の範囲等については定めておく必要があります。また、取引の内容によっては、秘密保持条項(NDA)や知的財産権の取扱条項、暴力団排除条項等も定めておく必要があります。

こういった条項については、仮に契約書で定めておかなくとも、民法や商法といった法律の規定で原則がルール化されているものもあるので、何も取り決めが無ければ、このルールに従うことになります。したがって、この基本的なルールと異なる約束をする場合は、必ず契約書の中に記載しておく必要があることに注意して下さい。

労働関係法務について

債権管理及び回収について

事業譲渡やM&Aについて

顧問契約について

顧問弁護士とは

顧問弁護士とは、契約した企業のために、法律上のアドバイスやサポートを継続して提供する弁護士のことです。弁護士というと、裁判を起こしたり起こされたときに初めて相談するというイメージが未だに強いのですが、紛争に巻き込まれる前に相談を受けていれば未然に防げることが少なくありません。また、何か問題が起きたときも、果たして弁護士に相談すべき事なのか迷うことが多いのではないでしょうか。特に中小企業の経営者の方は、会社経営の全てに目を行き渡らせる必要があります。経営者の方だけでなく、その家族や従業員が何か悩み事を抱えたときに気軽に相談できる相手として、かかりつけ医のように、ご利用いただけるのではないかと思います。

具体的に提供するサービスについて

顧問契約を締結することで、顧問料の範囲内で、以下の様なサービスをご提供することが出来ます。

  1. 取引先との基本契約書や業務委託契約書、その他業種に応じた各種契約  書のリーガルチェックや簡易な契約書の作成サービス
  2. 新規取引先との取引開始に当たってのアドバイスや売掛金の回収に向けた法的手続のアドバイス
  3. 従業員との労務問題に関する相談やその予防、就業規則の見直し等
  4. 顧客からのクレーム対応に関する法的アドバイス
  5. 特に中小企業を対象とする株主総会や取締役、監査役等の会社組織の見直しやアドバイス
  6. 会社経営にあたっての法的観点からのアドバイス
  7. 円滑な事業承継に向けた法的アドバイス
  8. ご家族や従業員の個人的な相談

ご希望があれば、リモートを活用した月1回程度の定期的なご相談にも応じさせていただきます。

顧問弁護士の費用について

顧問料は月額でお支払いいただくことになりますが、当事務所の標準顧問料は月額5万5000円(消費税込)になります。但し、相談や契約書のチェックなど、対応する業務量が月に3時間程度に収まる場合は3万3000円(消費税込)から始めさせていただくことも可能です。

顧問契約書の雛形について

以下に当事務所の顧問契約書の雛形を掲載してますので、ご参照下さい。

法律顧問契約書

依頼者       を甲とし、弁護士      を乙とし、甲が乙に対し法律上の助言を求め、乙が甲の求めに応じて法律上の助言を与えること等について、法律顧問に関する契約を次のとおり締結する。

第1条 甲は乙に対し,次の事項を委任し,乙はこれを受任する。

1 甲の事業の遂行に関し,今後生ずべき法律上の問題または紛争について,乙は常時相談に応じて意見を述べ,甲の個別的委任によりみずからその紛争を処理すること。

2 甲が第三者との間に締結する契約について,その内容および手続につき甲の求めに応じて助言し,または契約書を作成すること。

3 甲の経営について,法律上の観点から必要に応じ協力すること。

第2条 乙は甲から相談を受けた事項その他甲の業務に関し職務上知り得た事項について,甲の秘密を遵守し,甲から委任を受けた事項については,法令・弁護士会会則等・弁護士倫理または社会正義に反しない限度において,甲の利益のため誠実に受任事項を処理する。

第3条 甲は乙に対し,下記顧問料を毎月末日までに甲名義の下記に指定する銀行口座に送金して支払う。

第4条 顧問料には,相談料,契約書等の鑑定料(作成料は別途),契約交渉を伴わない内容証明等作成手数料を含むものとし,乙は甲に対し,原則としてその費用を請求しないものとする。

但し,鑑定等のため特別に調査研究を要した場合は,協議の上別途に請求することができる。

第5条 甲が乙に委任する民事,刑事その他の法律上の争訟について,甲が乙に対して支払うべき着手金,報酬,日当等の金額は,事件の難易,目的物の価額その他の事情に応じ,日本大通り法律事務所報酬規程の範囲内で,各事件ごとに甲乙協議のうえ定めるものとする。

第6条 この契約の有効期間は,本契約の時から平成  年  月末日までとし,甲乙のいずれか一方から上記期間の満了までに書面による解約の申入れがないかぎり,同一条件で向こう1年間の期間で更新されたものとする。

第7条 この契約は,甲または乙において,いつでも解約することができる。但し,甲は乙に対しすでに支払った顧問料の返還を求めることはできない。

1 月額顧問料の額 金○○円

2 消費税加算        金○○円

3 源泉徴収控除        金○○円

4 差し引き授受額 金○○円

5 支払時期        平成○○年○○月より同○○年○○月まで毎月末日限り

6 銀行口座         銀行  支店 普通預金

口座名義「         」

令和○○年○○月○○日

委任者       受任者          弁 護 士